ダーティペア Wiki
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Chara

ダーティペア』は高千穂遙が執筆したSF小説シリーズ、及びそのアニメ化作品。

作品解説[]

舞台は22世紀の銀河系宇宙。銀河連合が「クラレッタ三重星事件」[1]を教訓に設置したあらゆるトラブルに対処する専門機関、WWWA(スリー・ダブリュー・エー、World Welfare Works Association―世界福祉事業協会)に所属する犯罪トラブルコンサルタント(略して「トラコン」、以下同じ)“ラブリーエンゼル”、別名“ダーティペア”こと、ケイとユリが活躍するSFスペースオペラである。

トラコンは彼女たち以外にもおり、また犯罪調査以外に経済問題、医療問題など各種専門分野のトラコンもいる。地元当局の捜査調査結果に納得出来ない利害関係者がWWWAにコンサルティング要請を行って、その申し立てが妥当と見做された場合に派遣される。要請を受けた場合に誰を派遣するかはWWWAの中央コンピュータによって決定される。

ダーティペア[]

正式なコードネームはラブリーエンゼル。ただし誰もその名で呼ぼうとせずダーティペアというあだ名で呼ばれる。これは事件を解決するごとに、舞台となった星に壊滅的な被害を出すためである。但し、そのほとんどは起きるべくして起きた不可抗力の損害か、放置しておいた場合は、さらに大きな損害の発生が予測されたものだったとされる。その証拠に責任を上司の嫌味(相当に厳しい)など以外では問われた事はない。2人は(特にケイが)あだ名で呼ばれる事を非常に嫌っている。

彼女らがWWWAトラコンを続けていけるのは、2人そろって初めて発現する超能力(千里眼)に負うところが大きい。これは透視能力と予知能力がミックスされたようなもので、事件の調査中に何の前触れもなしに2人の身体的接触をきっかけとして発現し、事件の断片的な情報を2人同時に見るというものである。

第5作「―大復活」にて、度重なる被害に業を煮やした上司から、ついに初の謹慎処分を受けるも、続く第6作「―大征服」にて、やはり中央コンピュータの判断が“ラブリーエンゼルが適任”だったため、謹慎解除・任務復帰となった。

服装は銀色の編み上げブーツにホットパンツ、襟のあるノースリーブの丈の短いジャケットを着用しており露出度は高い。この衣装デザインは、映画『地獄の黙示録』に登場するプレイメイトの慰問シーンでの衣装をモデルとしている。地肌には「ポリマー」と記述される特殊耐熱透明ジェルを塗布しており、少々の衝撃やレーザーの擦過程度には耐えられるという。ただし直撃には耐え切れず、また、その都度熱で蒸発する為、数発で役に立たなくなる。シャワーを浴びる等で全裸になる時は専用の耐熱ジェルの除去クリームで剥がし落とす。

主な登場人物[]

ケイ
ユリ
ムギ

他作品とのつながり[]

  • 本作と同じく安彦良和が挿絵を描いている『クラッシャージョウ』シリーズとは、背景世界を共有しており本作の約20年後になる。最初に登場するのは映画『クラッシャージョウ』作中のドライブインシアターで上映されている映画(『ダーティペアの大冒険』と思われる)。また、外伝『ドルロイの嵐』にて、ジョウの父ダンが率いるチームがダーティペアと共闘しており、同作をケイの視点から見た物語が『ダーティペアの大乱戦』となる。
    • ケイが後にクラッシャーダンのチームのバードと結婚する「ケイ」と同一人物という説がある。ダーティペアのケイの出身星とバードの妻が死んだ星が同じである事、バードはタロスと彼女を奪い合った事になっており、『ドルロイの嵐』ではケイとタロスが(ケンカをしつつも)悪くない雰囲気であった事、などが傍証として挙げられているが、その一方で『ドルロイの嵐』に同名の連合宇宙軍の若い女性軍人がチラリと登場しているので、真偽は不明である。なお、このケイの父親は連合宇宙軍の関係者らしいが、本作のケイの肉親については特に語られていない。
  • 『神拳 李酔竜』シリーズの主人公、李酔竜は本作のゲストキャラクター(『大乱戦』に収録の短編『そして誰もしなくなった』に登場)のスピンオフ。彼も2人と同じくWWWAの犯罪トラコンであり、背景世界・時代設定も共通である。頭痛の種なラブリーエンジェルとは違い、WWWAのトップエースである。

シリーズ作品[]

ふたりがルーキー時代のエピソード、クァール族・ムギとの出会いもある。

備考[]

  • 作者はプロレス好きとしても知られており、WWWAはかつて実在した女子プロレス団体(World Women's Wrestling Association、その後団体としては活動停止し全日本女子プロレスのタイトル管理部門に)、ダーティペアは女子プロレスで一世を風靡したタッグチームビューティ・ペアからインスパイアされている。
  • ケイのモデルは以前スタジオぬえ所属だった少女漫画家、瑞原芽理で飼い猫の名前はムギである。ユリのモデルはやはり「ぬえ」の事務員、秋津由利である。『クラッシャージョウ』の映画に登場するダーティペアは、モデルとなったこの2人が声を担当している。
  • クァールはもともとA・E・ヴァン・ヴォークトの古典SF小説『宇宙船ビーグル号の冒険』の第一話「Black Destroyer」に登場する超生物に由来し、小説中にその旨が明記されている。ただしクァールは耳が巻きひげ状になっており、他の生物を襲って殺し、細胞原形質からカリウムを吸収する。なお、同作の日本語訳でのクァールの表記には揺れがあり、早川書房版『ビーグル号』では「クァール」だが創元文庫版などでは「ケアル」と表記されている。また、原作で2人が着用する「メタライト合金製の透明宇宙服」も同作が出典である。
  • 「ケイ」と「ユリ」の名は新スタートレック第47話「限りなき戦い」(Peak Performance)においてブラスロタ星系内にある惑星の名前として、「ラブリーエンゼル」という名前も作戦名として使用されている。

アニメ[]

1985年に日本サンライズ(現:サンライズ)制作でテレビアニメ化され、テレビシリーズ終了後にOVA、劇場版が制作された。

原作との設定の違い[]

テレビアニメ化にあたって原作から設定が変更され、その後に展開されたOVAと劇場版に引き継がれていったものも多い。

  • 2人に超能力はない[2]。二人のコスチュームが原作から変更されており、アニメ用に線が少なくされた。ケイは藍白で赤の縁取り、ユリは黄色で赤の縁取り、ブーツのデザインも個々で異なっている。耐熱ジェルの設定はない。通常任務とは別に破壊活動など荒事が伴う特殊任務時には、二人とも黒系のジャンプスーツを着用し飛行装置を有したバックパック装着、組み立て式のレーザーライフルやグレネードランチャーで武装する。
  • ユリのブラッディカードを削除[2]。代替として上腕に巻きつけてある鞭を装備。通信機になるイヤリングは色違いで二人とも身に着けている。
  • 原作のサポートキャラであるムギの活躍が激減しており、ほぼペットに近い扱いになっている。外見も触手の描写がなく、体色は黒から褐色へ変更され、体格も原作の挿絵に比べるとムッチリと太っており、一見すると熊のようである。触手が無い代わりに、前足(爪も)を器用に使う。自分の食事を電子レンジで温めたりしている。知能は高く、ラブリーエンゼルの修理やメンテナンスも出来る。人間の言葉を完全に理解しており、ダーティペアの二人の命令には忠実に従っている点は原作と変わらないが、時に間抜けな行動をしたり、脅えたりする感情豊かな点が付け加えられている。
  • ムギがクァールであるかどうかはアニメ本編では明言されていない。なお、「あれでネコ科ってんだから先祖が知ったら嘆くだろうに」(ケイ)「遺伝子工学もとんだイタズラをするものね」(ユリ)というセリフがある。
  • テレビ版ではオリジナルキャラ、小型ロボットの「ナンモ」が登場している。球体に足をつけたような外見。ラブリーエンゼルをはじめ、宇宙船やその他の乗り物の操縦、コンピューターへのハッキングや解析、戦闘時には加勢するなど多くのサポートを担っている。コンピューターとの接続を行うアーム型の接続端子と汎用作業用のマジックハンド型のアームを内蔵。更にバーニアも装備しておりユリやケイと共に宇宙空間での行動も可能である。自爆機能も有しており、万が一の時には起動させる。脳にあたる記憶チップさえ無事に残っていれば、新たなボディにチップを搭載し「ナンモ」として再生が可能である(ナンモが故障したエピソードでは、ムギがナンモを修理した)。
  • 専用宇宙船「ラブリーエンゼル」号のデザインが大きく異なる。原作では細長い砲弾状の垂直型宇宙船、アニメでは一部作品を除きスタートレックのエンタープライズ号を意識したデザイン、戦闘用の小型ポッドをコックピット部分に内蔵している。
  • WWWAの設定が、原作では現実のITUやWHOなど国連の専門機関同等のような準公共団体であるのに対し、アニメでは利益企業となっている。2人の上司は原作のソラナカ部長からグーリィ主任に変更。WWWAでの認識コードはケイが234-K、ユリが234-Uである。

主な声の出演[]

テレビシリーズ終了後に展開されたOVA、劇場版でもこのキャストが引き継がれている。

  • ケイ頓宮恭子
  • ユリ島津冴子
  • ムギナンモ巻島直樹
  • グーリィ主任:沢木郁也

ダーティペア (テレビ版)[]

ダーティペアの大勝負 ノーランディアの謎 (OVA)[]

ダーティペア(劇場版)[]

ダーティペア(OVA版)[]

ダーティペア 謀略の005便 (OVA)[]

漫画版[]

テレビアニメとのタイアップで、池田一成の手により月刊少年マガジンに1985年6月から同年11月号まで、全3話(計6本)が連載された。しかしながら単行本化はされていない。

現在、たまきひさおによる漫画化作品が2010年5月号より「ダーティペアの大冒険」として月刊COMICリュウにて連載されている。

  1. 第1巻2010年10月13日刊行 ISBN 978-4-19-950206-4
第1巻は本編「ダーティペアの大冒険」より「ダーティペアの大冒険」と「赤方偏移の鏡(目次より)or赤方偏移の魔女(本文題名より)」。

ファミコン用ゲームソフト プロジェクトエデン[]

1987年3月28日に発売された、ファミリーコンピュータ ディスクシステム用ゲームソフト。発売元はバンダイ。定価3300円。

ストーリーやキャラクターは同時期公開の劇場版を基にしている。プレイヤー1はユリを操作し、2人同時プレイ時はプレイヤー2がケイを操作する。1人プレイ時、ケイはパワーアップアイテム「エアカー」に最初から乗車しており、プレイヤーの攻撃に合わせて援護射撃してくれる。

全4ステージ構成。ステージ1・3は強制横スクロールのアクションシューティング面。押し寄せるサディンガを撃ちつつ、ステージの終端まで辿り着けばクリア。ステージ2・4は屋内探索型アクション面。多層フロア間を上下左右に移動しながら8枚の情報ディスクを回収し、ゴール地点に辿り着けばクリア。

マルチエンディング採用との事だが、条件(詳細は不明)によりオールクリア後のグーリー主任のセリフが変化する程度である。

ゲームブック ヴァッサーインゼルの大追跡[]

1987年3月に富士見ドラゴンブック (富士見書房) から刊行されたパラグラフ選択式のゲームブック、執筆は聖エルザクルセイダーズ松枝蔵人が行っており、イラストは美少女漫画家の計奈恵が担当している。

TV版の放送後ではあるが、当時としては珍しく、設定は全て原作に準じている。

ダーティペア FLASH[]

FMサウンドシネマ[]

ダーティペアを原案としたラジオドラマ 毎週日曜日24:30~25:00fm-osaka『イトクボのパーティー・ロード』内のFMサウンドシネマにて放送。放送から2週間遅れでインターネット配信される。

  • 更新日:毎週月曜日
  • 番組時間:約10分


ラブリーエンゼル ユリ&ケイ[]

ダーティペア91(くのいち)[]

アメコミ版[]

ダークホース・コミックスから"The Dirty Pair"シリーズが、「マンガ・スタイル」のアメコミ作家・アダム・ウォーレン(Adam Warren)によって描かれ、出版されている。

  • Biohazards (ペーパーバック 1988~1989 合本 1989 新版1998)
  • Dangerous Acquaintances (ペーパーバック 1989~1990 合本 1991 新版1997))
  • A Plague of Angels (ペーパーバック1990~1991 合本 1994)
  • Sim Hell (ペーパーバック1993 彩色改訂版 2001 合本 1994 彩色改定合本 2002)
  • Fatal but not Serious (ペーパーバック 1995 合本 1996)
  • Start the Violence (ペーパーバック 1998 合本 1999)
  • Run from the Future (ペーパーバック 2000 合本 2002)

パチンコ[]

2002年に藤商事からパチンコ台、CRダーティペアがリリースされ、全国のパチンコ店に設置されていた。R、V、Fの3つのスペックがあった。

脚注[]

  1. どのような出来事だったのかは全く設定を考えていないらしく不明。
  2. 2.0 2.1 OVA『ノーランディアの謎』を除く

外部リンク[]

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